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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第37話 自分には見えないのに、プロには見えているもの

「フェイスブックはなかなか恐ろしい道具だな・・・」

そう、私、シモヤに思わせる出来事がありました。知人の中小企業診断士がフェイスブックにある投稿をあげていました。それは、知人がセミナーを開催するという告知でした。問題は投稿につけられたコメントです。

「セミナー主催とは、偉くなったなー(笑)」

「先生とは、すごいですね!!」

こんな同業者からの冷やかしのコメントが並んだのです。コメントを書き込んだ方々に悪気は全くありません。もしかしたら、多少のやっかみもあるのかもしれません。それはともかく、彼らは単純に飲み会のノリで書き込んでいるのです。

フェイスブックの投稿を読んでいるのは言うまでもなく、私の知人の友人ばかりではありません。取引先や支援先の経営者も含まれます。

こんな軽いノリの書き込みが相次ぐ方のセミナーを受講したくなるか、ということです。「同業者に茶化される程度の実力の人か」と見透かされてしまいます。

私は知人に、それとなく「書きなおしてもらった方がいいんじゃない?」とフェイスブック経由でメッセージを送りました。

すると、私の知人は「何がマズいのかよくわからない」という反応でした。私もあまりしつこく、強く指摘する筋合いのものでもないので、それ以上、何かを言うのは止めました。

この出来事で、シモヤはある格言を思い出しました。

「神は細部に宿る」

ドイツの名建築家ミース・ファンデル・ローエの言葉と言われています。意味としては「素晴らしい芸術作品や良い仕事は細かいところをしっかりと仕上げている。こだわり抜いた細部こそが作品全体の出来を左右する」という感じでしょうか。

シモヤの知人にとっては、フェイスブックでの一連の出来事は「些細なこと」なのかもしれません。ですが、シモヤのような情報発信やコミュニケーションを専門にしてきた人間からすると、全く細部ではない。かなり気になってしまいます。そもそも、その知人には「些細なこと」どころか、見えていなかったのかもしれません。

「細部が見えるか否か」

それが専門家と門外漢を分ける、ひとつの基準だと言えます。コミュニケーションの分野では、シモヤには細部が見える。ところが、シモヤの知人の専門分野では、シモヤには見えないことがいくつもあるかもしれません。

前回のコラムでも書きましたが、自分の専門外であるにも関わらず、最初からすべて見えている気分になって、諦めている経営者が実に多い。

「うちには何もないんですよね」

こういうことを言われる経営者が多くいます。特にシステムの受託開発、専門商社、飲食業、サービス業という、他社との決定的な違いや画期的なビジネスモデルをアピールしづらい業種で多い。

ですが、それは専門外だから見えていないということがほとんどです。

日経新聞や経済ニュース番組に出ている同業者を見て、「そんなに大したものじゃないのに・・・」と思ったことはないでしょうか?これは逆説的に言うと、情報発信においては「同業者から見て大したもの」である必要はないということです。

「うちには何もないんですよね」と言っているのは、専門外である方です。専門家が見れば、「いろいろある」可能性が高い。あるいは「本当に何もないなら、あるものを再構成すればよい」のです。実にもったいない。

あなたは自分の専門外であるにも関わらず、ひとりで納得して、最初から諦めてはいませんか?

 

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