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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第10話 ストーリーとエピソードの違いがわかりますか?

今回のコラムはこれまでの本欄のなかでも、そして、これから書くコラムのなかでも、最重要のものになるはずです。

「シモヤさん、うちもストーリーで社内外に訴えているんですよ」

先日、急成長を遂げている起業家から、話しかけられました。そして、1枚の紙を手渡されました。創業者の経歴、創業にまつわる話が書かれています。その紙を各マスコミに配り、アピールされているとのこと。

会社にまつわる出来事を書き記し、アピールしようという姿勢は、お世辞ではなく、素晴らしいものです。というのも、ほとんどのベンチャー企業は、新聞の折り込みチラシのような、一方的に言いたいことを書きなぐったプレスリリースを撒き散らしているというのが、実情だからです。そうした企業と比べると、会社の出来事をまとめるという取り組みは、遥かに上の水準にあります。

が、「生兵法は怪我の元」という諺があります。残念ながら、下手にやってしまうと、その諺通り、大怪我をすることになります。

ほとんどの企業やコンサルタントが理解していない、けれど、極めて重要なことがあります。それはストーリーとエピソードは全く別のものだということです。

何か出来事を、それなりに整った文章でまとめたものを、多くの人々が「ストーリー」と称しています。ですが、それは私に言わせれば、ただの「エピソード」です。エピソードとは、出来事を記しただけのものです。一方、ストーリーは綿密な計算と確かな理論に基づき、送り手が特定の意図をもって、受け手の内面に働きかけていくものです。

「アナと雪の女王」や「美女と野獣」のような大ヒット映画を思い出してください。単なる出来事の羅列でないことは明らかです。明確な意図をもって、計算しつくされたものなのです。

さらに事業ストーリーとなれば、ビジネスへの波及効果までも、戦略的に考え抜いたものでなければなりません。ただ単に「面白そうな」出来事を「きれいに」記しただけのものとは、全く異なります。

エピソードの羅列でも、結果的にうまくことも確かにあります。が、それは偶然の産物に過ぎません。一歩間違えば、大怪我の原因となります。例えば、起業家がビジネスに積極的な姿勢をエピソードでアピールしようとしたとします。が、起業家の想いとは反対に、多くの人々が受ける印象は「カネにガメツイ人」になりかねません。そのとき、従業員が、顧客が、そして社会が、どういう反応を示すかー。

ただエピソードを並べるのは、あたかも設計図無しにビルを建てるようなもの。それは極めて危険な行為なのです。

あなたが訴えていたのはエピソードでしたか、それともストーリーでしたか?

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