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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第42話 【番外編】財務省記者クラブの舞台ウラ

次官のセクハラ発言などで、「財務省記者クラブ」なる存在に注目が集まっています。私、シモヤも短い間でしたが、所属していたことがあります。財務大臣の記者会見に出たり、財務官僚を取材するなどして、経済政策のニュースを、「ワールドビジネスサテライト」に向けて企画を立てるという役割です。

財務省というのは、役所のなかでも特に変わった省庁です。例えば財務省の庁舎は、霞が関の省庁のなかで、最も安普請です。しかも文科省などが高層ビルに建て替える一方、いまだに古びた建物を使い続けています。

これは「国の予算を預かる財務省は模範を示さなければならない」という考えによるものです。つまり「他人の予算を決めるには、自分につける予算は一番最後」ということです。「霞が関最弱」と揶揄される文科省が真っ先に庁舎を建て替え、「最強」と言われる財務省が建て替えないのは、決して偶然ではないのです。

その財務省に常駐している財務省記者クラブも、批判の多い記者クラブのなかでも、特異なポジションにあります。財務省記者クラブは経済記者のなかでは、まさに花型部門。日経新聞だと、財務省記者クラブに所属する記者は将来の社長候補です。まさに「エース中のエース」記者なのです。

そうした社内の部門間の力関係の現れなのか、日経の一面は「財務省関連ネタ」が、特に大きく扱われる傾向にあります。今回のセクハラを受けて、記者クラブ加盟の20社余りが財務省に抗議文を出しました。ですが、日経は抗議文に名を連ねてはいません。日経における財務省の重要性がいかほどのものであるか、一般の方にもわかるはずです。

さて、今回セクハラを告発したテレビ朝日の女性記者の女性上司というのは、私、シモヤも知っている方です。ネットなどでは「女性部下の告発を握り潰したトンデモない上司」と責められています。ですが、彼女は政治・経済記者では知らぬ人がいないほどの優秀な記者です。

記者として優秀なだけではなく、現場の取りまとめ役としても、絶妙のバランス感覚で取り仕切っていたことで知られています。テレビ朝日以外の局の幹部が真顔で「うちにもああいう人が欲しいよな」とか、自社の若手女性記者に「目標にするように」と伝えるなど、その評価は極めて高い方でした。

永田町や霞が関は、男社会です。特にその女性上司が記者として最前線に立っていた時代は、今以上にセクハラが激しい時代でした。例えば私、シモヤも、その女性上司も担当していた、経済政策を長らく牛耳っていた自民党のある大物政治家がいます。

その大物政治家は女性記者「だけ」を集めて、ホテルニューオータニのプールで記者懇談会を開きます。女性記者は全員水着にならざるを得ないわけです。自分がいないところで、重要なネタが明かされるわけにはいかないからです。もう、無茶苦茶のやりたい放題です。

その優秀な女性上司は、そうした激しいセクハラも極めて巧みにかわしてきた記者でもありました。もしかしたら、部下にも自分と同レベルのスキルを、知らないうちに期待していたのかもしれません。

現役テレビ記者に話を聞くと、今回、次官からのセクハラ被害にあった女性記者は3人いるそうです。3人の写真を見ましたが、皆さん、かなり綺麗な方でした。3人いるということは、3社です。同僚は敵討ち、上司は罪滅ぼしではないですが、その3社はこの問題をかなり重点的に、長期的に取り上げていくと、シモヤは予想します。この問題は、財務省の当初の目論見以上に、ダメージが大きくなりそうです。

さて、本稿は起業家や経営者向けのコラムです。「番外編」と銘打っても、記者クラブの舞台ウラやシモヤの思い出話だけを書いていても仕方がありません。ですので、情報発信を巡る記者クラブなどの構造を、どう利用すべきかについて、筆を進めていきます。

このセクハラ騒動で一般の方にまではっきり明らかになってしまったことがあります。それは財務省という取材先と取材者の力関係です。テレビや紙面では、「財務省は・・・すべきではないでしょうか」と肩肘張って主張していても、実際の力関係は圧倒的に違うということが、視聴者・読者にまで露わになってしまったということです。これは長期的に見れば、伝統メディアの価値を毀損する出来事となるはずです。

では、財務省と記者の力関係が、企業取材の世界でも当てはまるかと言うと、全く事情は異なります。ご想像の通り、力関係は真逆です。

企業取材の記者はとにかく無意味に、威張っている輩が多い。ある全国紙の記者から「ウチ以外にネタを先に出したらどうなるか。わかっているよな!」と恫喝された企業幹部の話も耳にしたことがあります。そういう環境ですので、私、シモヤはある有名企業の幹部から「他社の記者さんはすごく威張っているんですけど、シモヤさんは親しみやすい感じで良かったです」と言われたことさえあります。

財務省とは正反対の関係性に陥るのは決して偶然ではありません。この辺りの理由はネットで詳しく書くわけにはいきませんので、ここまでにします。

メディアを企業が活用するには、真正面から企業取材の記者向けに訴求する方法と、それとは全く異なる霞が関や永田町の記者クラブ経由で訴求する方法があるということです。そして、霞が関や永田町の記者クラブ経由の方法を上手に活用すれば、取材する側との力関係を、企業側に有利にすることも可能となるのです(この手法は特に地方の企業において、有効です)。

「何を」伝えるか、「どのルートで」伝えるか。「何を」伝えるかが極めて重要です。ですが「どのルートで」伝えるかにまで細心の注意を払えば、その伝達効果は格段に大きくすることもできるのです。

普段から、ぜひ「どのルートで」伝えるかにまで、心を配り、効果を最大限に引き出してください。

写真:©︎時事

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