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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第33話 「スタートアップ界隈で話題の会社」という壁を超えるために

前回のコラムでは、創業の比較的早い段階から、ソフトバンク・孫社長、楽天・三木谷社長、サイバーエージェント・藤田社長は、日経やわたくし、シモヤが在籍していたテレビ東京の経済番組に頻繁に、好意的に、取り上げられていることについて、述べました。その理由について、前回のコラムから、もう少し掘り下げて見ます。

ソフトバンク、楽天、サイバーエージェントは当然ながら、当時から急成長ベンチャー企業ではありました。ですが、急成長ベンチャーだから取り上げるというほど、直線的には進みません。急成長ベンチャーはそもそも山のようにあるからです。もっと言ってしまうと、上場前であれば、どれくらい売上が伸びているか、正確なところはマスコミのような外部からはわかりません。急成長と好意的な掲載は直結しないものだと、ご理解いただけるはずです。

大手の経済メディアは掲載するか否かを判断する価値基準を持っています。それは、有名経済メディアの媒体特性に、極めて深く根ざしている価値基準です。そこに合致しなければ、掲載することはまずありません。逆に合致して入れば、継続的に取り上げることになります。みなさんも上場前から経済マスコミの常連化している企業が、いくつか思い浮かぶはずです。

必要なのは急成長していることでも、画期的な技術でも、ビジネスモデルでも、ピカピカの創業者の経歴でもなく、あくまで価値基準との合致なのです。この価値基準は有名経済メディアだけに通用するものではありません。同時に、多くのビジネスパーソンが引きつけられる価値観でもあります。だからこそ、その価値観のパターンを社内外に発信することで、顧客・従業員の双方に対する、求心力を得ることができるのです。

「有名経済メディアが背負っている価値観は、その媒体特性に深く根ざしている」と先ほど書きました。これはネット媒体、なかでもスタートアップ専門に取り上げている媒体とは、かなり異なるものです。

誤解して頂きたくないのは、どちらが「良いか悪いか」、「偉いか偉くないか」という上下の性質ではなく、媒体特性の違いによるということです、有名経済メディアとスタートアップ専門媒体では読者・視聴者層、売り込みの量、紙面や放送時間という物理的制約の有無も含め、かなり異なります。

この媒体特性の大きな相違が意味するもの。それはスタートアップ専門媒体に出ることは、有名経済メディアの常連になること(=多くのビジネスパーソンの共感を得る企業と見られること)に、直結していないということです。有名経済メディアの記者であっても、こうした媒体に熱心に目を通しているわけではないので、掲載された企業の存在を知るきっかけになる可能性も高いとは言えません。

つまり、スタートアップ業界の専門紙に出ることの延長線に、有名経済メディアは無いということなのです。この乖離を乗り越えるには、全く別の情報発信戦略が必要になるということなのです。そして、この乖離を超えられるスタートアップは、驚くほど少ないのです。

あなたはこの大きな乖離を超えるだけの、情報発信戦略を持っていますか?

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