今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第5話 1,000億円を超える起業家の共通点
「シモヤさん、長年取材されて、大成功した経営者に共通点を感じましたか?」
30代で起業し、20年かけて5億の売上を実現、今は次のステージを模索されている経営者の方からのご質問です。「大」成功というと、1000億円を超える規模にまで達したという感じでしょうか。
その規模にまでなられた起業家に、私が共通して感じた要素。それは、一種の狂気のようなものです。この規模の創業者になると、もはや一生使い切れないほどの資産、それに地位も名誉を十分すぎるほどに手に入れています。例えば、ソフトバンクの孫社長の総資産は1兆円です。毎日1億円を使っても、一生使い切れないほどの財産です。そこまで手に入れても、毎日、極めてハードな日々を過ごしているわけです。
それはカネ、地位、名誉を手に入れる手段としてのビジネスという「だけ」ではありません。もちろん、ビジネスが楽しいという「だけ」でもないでしょう。もはや、起業家の心臓とビジネスが一体となっている、あるいは、へその緒とビジネスが固く結びついているような状態と言えるかもしれません。
そこまでの状態に至るのは、子供の頃の体験や記憶にまで根ざしていることもあるでしょう。そもそも、そうした原体験があることが幸せなのか、それはご本人しかわかりませんが。
当然、今から子供の頃に戻るわけにはいきません。ですが、もう一度自分のビジネスを見つめ直し、自分のへその緒と結びついているかを問い直すことは、今でもできます。これまでの歩み、そしてこれからの道しるべを考えるための、ひとつのヒントになるかもしれません。
これは経営者の方々への助言であると同時に、私自身に向けられる言葉でもあります。
あなたは、手がけるビジネスが自分自身と、本当にへその緒で結びついていると言えますか?