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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第6話 社会部記者より怖い、ネット時代の危険性

「シモヤさん、あの記者の追求、すごかったですねぇ。記者って、皆さん、ああいう感じなんですか?」

先日、菅官房長官の記者会見で加計学園問題を質問する女性記者の姿を見た、経営者の方から話を向けられました。

新聞でもテレビでも、記者は所属部署によって、気風がかなり異なります。政治部や経済部の記者は、いかにもサラリーマンという風情の者が多い。一方、社会部の記者は「無頼漢」風の人物が多いというのが特徴です。

社会部というのは、主に警察を取材している部門です。つまり、犯罪関連の取材が主ということになります。社会部の記者は、通常は企業経営者にとって、全く無縁の存在です。が、企業にも社会部の記者が取材に来ることがあります。それは社会部の特性上、その企業が、何か法令違反を犯していると疑われているときです。警察の捜査が始まってしばらくすると、社会部記者も警察の動きを嗅ぎつけ、疑惑の企業を取材します。

雪印の食品偽装問題、焼肉チェーン店の食中毒問題。いずれも前面に出て取材しているのは、社会部の記者です。企業にとって、社会部記者は「招かざる客」なのです。

法令違反が明らかになり、新聞沙汰となった場合、社会部記者が企業に大挙して押し寄せ、徹底的に社長を糾弾するということになります。激しい口調で、社会部記者に詰問されるのです。が、社会部記者は企業に与えるダメージという意味では、まだマシな方かもしれません。

実は最も恐ろしいのは、社会部記者ではなく、ネットに書き込む、ごく普通の人々です。

不祥事を起こした場合、新聞やテレビの記事が、ネットに掲載されます。が、その記事は半年程度で削除されます。削除の理由は、人権に関する配慮です。犯罪を犯した人物が、実名で報道される。その人物は刑期を終えるなど、いずれ罪を償います。罪を償った人物の実名を、永遠に記事として出し続けるわけにはいきません。そうした配慮から、新聞社やテレビ局は一定期間の後、記事を削除するのです。これはヤフーニュースに掲載される記事も同様です。

ですが、今やネットの時代。新聞やテレビの記事そのものは削除されても、その記事を引用した、一般の方々のSNSへの書き込みは、永久に残ります。企業として、書き込んだ方々全員に削除要請をするのは、不可能です。

企業名や経営者名で検索すれば、犯罪歴がずっと残るという状態が、永遠に続くことになるのです。そのダメージの大きさは、もはや説明するまでもないでしょう。どんな素晴らしいストーリーを経営者が発信しても、台無しになりかねません。

法令違反を犯したときのダメージは、ネット社会の浸透によって、かつてないほど高まっています。ネット時代を生きる経営者は、20年前の経営者と同じ感覚では、かなりマズいのです。

最新技術を駆使した新規事業分野では、法整備が追いついていないことが多々あります。それでも、法令違反に反しないよう、知恵を絞り、工夫をこらすのです。携帯電話の複雑怪奇な料金体系は、その「工夫」の最も典型的な例です。

法令違反を犯さざるを得ないという状況は、根本的な問題の解決を避けているともいえます。あまりに過重なサービス残業の常態化は、生産性の低さ、あるいは、自社の商品力の低さが、真の原因であるのかもしれません。法令違反を避ける手段を考えることが、経営の本質的な課題に着手することに直結するのです。その経営課題解決に直結するのが、私の提唱している、ストーリー構築です。

あなたは法令違反の危険を甘く見積もっていませんか。そして、真の経営課題の解決を避けていませんか?

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