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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第53話 私が、地域密着企業の支援に特にこだわる理由

今年から特に東京「以外」に拠点を置く企業の支援に、私、シモヤは力を入れています。地域密着企業の支援は、自分にとって、生涯を賭けて打ち込むべき仕事だと信じています。

地域密着企業の圧倒的多数が、伝え方の問題を抱えています。自社の持っている本質的な強さ、素晴らしさ、共感される要素を、適切に伝えられていないのです。「適切に」と書きましたが、「適切」どころか、全く伝えられていない企業の方が多いというのが実感です。

伝え方にまつわる問題は大企業よりも圧倒的に、中小企業で発生します。大企業であれば数億円を支払って、一流の広告クリエイターに日常的に発注しています。それ以前に、大企業は長く膨大な費用をかけて蓄積されたブランド力によって、消費者や取引先に十分認知されています。

伝える努力をもはや大して必要としていないほどのブランド力を固めている大企業が、さらに膨大な費用をかけて、自社ブランドを伝えて続けているのです。

一方、地域密着の中小企業はどうでしょうか。大企業と比べて、あまりに自社ブランドをつくること、さらに、自社ブランドを伝えることにあまりに無頓着です。

伝え下手で生じる最大の問題は、新規顧客が極めて取りづらいということです。

新規顧客にとっての判断材料は情報しかないのです。情報とはホームページなどの販促物の内容から、営業スタッフのトークまで、幅広いものを意味しています。

つまり伝え方の問題は、新規顧客の獲得に直結するものなのです。

地域密着企業は、強力な自社ブランドを構築できるだけのタネを持っています。これは500社以上の成長企業を取材してきた、私自身の経験から断言できます。ですが、圧倒的多数の地域密着企業は、タネを育てようとすらしていません。

地域密着企業は「本業の腕」の勝負に入る以前に、伝え方で負けているのです。

「本業の腕」で負けるのであれば、仕方がありません。ですが「本業の腕」以前に負けが決まるのであれば、あまりにもったいない。

自社の本質を相手に理解されることなく負けが決まってしまうという、多くの地域密着企業が置かれた現実。それは、子どもの頃の私自身の姿と重なります。

私は子どもの頃、重い小児喘息に苦しんでいました。今はすっかり治っていますが、実に苦しい経験でした。人並みの運動もできません。自ずと極度の人見知り、そして引っ込み思案になっていきました。

想いはあるのに、伝えられない。他人に理解されない。それが、私の子どもの頃そのものでした。

地域密着企業のありようは、どこか、自分自身の子どもの頃を思い出させます。だからこそ、地域密着企業の支援に、私は特に力を注ぎたい。伝え下手で損をしている存在を、ゼロにしたい。

今回のブログのカバー写真は、私の故郷・福岡の室見川の現在の姿です。私は東京を離れ、地方の光景を見るたびに、子どもの頃に見た風景と当時の感情を思い出すのです。

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