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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第59話 地域イベントが全国区のニュースで取り上げられるために

私、シモヤの主要テーマのひとつが、地域や独立・起業といった「世の中心と距離を置いて独立しようとしている存在」の支援です。

ということで、地域イベントには強い関心を持っています。最近は地域密着型企業の支援を多く手がけていることもあり、先週末は「ワインツーリズムやまなし2018」に参加してきました。

「ワインツーリズムやまなし2018」とは山梨県内のワイナリーを巡り、造り手と触れ合いながら、ワインや風土を楽しむイベントです。今年で10回目の開催。山梨県内の実に60以上のワイナリーが参加しています。

各ワイナリーでは、造り手の熱を肌で実感することができました。

個性派揃いの、一国一城の主であるワイナリーを取りまとめ、イベント開催に漕ぎ着けた主催者の方々の苦労は大変なものであったろうと推測します。

さて、「ワインツーリズムやまなし」ほどの規模ではなくても、全国各地で地域活性化や地域の物産をアピールするイベントが開催されています。

けれど、いわゆる全国区のマスコミで取り上げられるものは、ごくわずかです。

ひとことで「マスコミ」と言っても、一様ではありません。媒体の種類ごとに、取材先選定の基準は微妙に異なります。読者層など媒体ごとに存在基盤が違うからです。誤解して欲しくないのは、これは媒体ごとの優越を言っているのではなく、あくまで媒体特性の違いに寄るものです。

こうした媒体ごとの違いとして、地元メディアと全国区のマスコミに分けることができます。地元メディアとは、テレビで言えば、特定の県だけで流れるローカルニュース、新聞だと地元紙や全国紙の地方版と呼ばれる紙面を指します。

地元メディアには、「地元の出来事を、地元で暮らす人々に伝える」という大きな役割があります。「地元に暮らす人々の生活に密着した情報」とも、言い換えることができます。

地域イベントは地元メディアの担うべき役割からすると、取り上げるべき出来事です。イベントは、地元の人々が週末を楽しむ選択肢になる情報だからです。読者・視聴者の取引先がイベントに出店しているのであれば、地域の人たちの仕事にも直結する話になります。

ところが言うまでもなく、全国区のメディアでは事情は異なります。

北海道で開かれる週末のイベントに、九州の読者・視聴者が気楽に訪れることはできません。地域イベントを取り上げても、圧倒的多数の読者・視聴者には関係ない情報です。

加えて、週末ごとに相当数の地域イベントが開かれます。ある特定の地域にとっては、年に一度の特別なイベントであっても、全国という視点で見れば、「毎週末開催されている、どこかのイベントのひとつ」に過ぎません。

全国区のマスコミを通して地域をアピールするには、イベント開催だけで止まっていてはダメだと言うことなのです。

「イベント開催」と言うだけで取り上げられるのは、「さっぽろ雪まつり」、「博多どんたく」、「ねぶた祭り」といった、知名度がすでに全国レベルに達しているものに限られます。では、地域イベントが全国区のメディアに出るのは無理なのか。そんなことは全くありません。

前の段落のはじめに、「『イベント開催』と言うだけで取り上げられるのは」と但し書きをつけました。裏を返すと、「イベントが開かれるということ以外」の意味づけを加えれば、出ることができるということになります。

「意味づけ」とは、もはや地方ごとの違いすら判別不能なほど溢れかえっている「ゆるキャラ」が出ることでも、有名店やカリスマ料理人が参加することでも、人気芸能人が登場することでもありません。

有名メディアが取り上げる共通パターンのストーリーの意味づけがあるか。

その一点が極めて、重要なのです。

イベントの開催そのものは全国レベルで見れば、ニュースではありません。ストーリーの意味づけを持って、初めてニュースとなりうるものなのです。

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