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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第55話 高品質とは客観的事実ではなく、脳がつくるもの

先週は故郷・博多に行ってました。「夏休みの帰省」ではなく、仕事です。その日は打ち合わせが3本ありました(縁をつないでくださった、T社長。ありがとうございました!)。

が、打ち合わせの合間が1時間ほど空いたので、シモヤが小学生の頃を過ごした地域を約30年ぶりに歩いてみました。

打ち合わせ場所、博多駅から20分ほどの場所に、シモヤが育った地域はあります。上の写真にある室見川や小高い丘のある、福岡郊外の住宅地です。

30年ぶりに見て歩き、気が付いたことがあります。それは小学生のころ「大きい川」だと思っていた川が、実はそれほどでもないということ。毎日の通学路の「長く、険しい」坂道が、それほどでもないということでした。

私が改めて気が付いたのは「大きい」、「険しい」というのは主観に過ぎないということです。川も坂道も、当時から何も変わっていないのですから。

わざわざ説明するまでもなく、小学生の体格と今の体格では違うのですから、感じ方が異なるのは当たり前です。

川や坂道だと、わかりやすい話です。ですが、この主観による認識の違い、自分のビジネスでも日常的に起きているということです。

社会でひろく「画期的」と認識されている製品は、本当に画期的なのか。「高品質」と思われているサービスは、本当に高品質なのか。

そして「おいしい」と思われている料理は、本当においしいのかということです。

ダウンタウンの浜田さんが司会を務める「芸能人格付けチェック」という人気番組があります。有名芸能人が1本100万円のワインと、3,000円のワインを飲み比べ、どちらが超高級ワインか当てるという企画です。

番組の中で、ほとんどの芸能人が間違った選択をします。超高額ワインと3,000円ワインの区別がつかないのです。3,000円のワインも飲食店で飲めば、1万円近い値札がつくものです。不味いはずがありません。

視聴者は有名芸能時の「間違い」を見て、笑います。ですが、私のような仕事をしている人間にとっては、笑えない、示唆に富む光景です。

よほどのワインの専門家でもない限り、「100万円のワイン」だと満足させているのは、舌で感じた味そのものではなく、「これは100万円のワイン」だと脳に認識させている「舞台設定」だということです。

ワインの歴史、有名評論家の高得点、醸造にかける作り手の想いをソムリエが語る。あるいは購入者が事前に学んだうえで、飲む。ワインを口にする場所は高級な調度品に囲まれた、重厚な雰囲気が漂う、高級レストラン・・・。

それらの舞台装置が揃ってはじめて、飲み手の脳に「100万円のワイン」だと認識させているのです。味そのもの「だけ」ではないということです。

多くの売り手、作り手は、購入者の認識にまで働きかけようとはしません。味という、腕そのものを磨くことに集中します。

それは正しい行為です。ですが、それだけでは「100万円」を取れるワインにはならないということなのです。

腕を磨くと同時に、高額で売れるブランドたるには、相手の「脳の中」にも働きかけなければならない。

「腕磨き」だけではなく、「脳の中」にも働きかけて、自社製品やサービスの良さを、相手にしっかりと伝えてみてください。

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