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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第46話 東京から日帰り圏内の中小企業はテレビを狙え

「シモヤさん、マスコミ内部のことって、本当にわからないものですね」

私が継続的に支援している、東証一部上場企業の幹部の方から聞いた、一言です。東証一部上場企業なので、決算ごとに決算会見を開いています。非上場企業に比べると、有名経済マスコミとの接点ははるかにあります。

にも関わらず、あまりに複雑怪奇なマスコミ内部の事情がわかるかというと、そうではありません。それくらい閉鎖的で、情報が外に出ない、特殊な世界だということです。

先日、日大アメフト部の記者会見で司会を務めた人物が、その大柄な態度で非難を受けました。司会者は共同通信で部長職まで務めた人物とのこと。ベテラン記者のああいう振る舞いは、実は「よく見る光景」です。いかに世間とズレた文化なのかを、図らずも明らかにしてしまいました。

多くの「本当の情報」が知られていない世界です。なかでも、特に知られていないのが、テレビのニュース番組の制作プロセスです。その制作プロセスが理解できれば、テレビを活用できる可能性は、飛躍的に高まります。

私、シモヤが「もったいない」と強く思っているのが、東京から日帰り圏内にある中小企業です。こうした中小企業は、実はテレビ取材を獲得しやすいのです。

テレビの取材は、基本的には私のようなディレクター(=記者)、カメラマン、音声スタッフらがセットで動きます。撮影機材を持ち運ぶ都合上、取材スタッフの移動はハイエースのような車両を使います。

撮影スタッフは、都心のテレビ局の本社から出発します。例えば東京都内の企業を取材する場合、片道30分かかったとして、駐車場を探すのに、普通に20分くらいかかったりします。駐車場の空きを待つのに、さらに時間を要することも珍しくありません。駐車場の数が少ないので、取材先企業から一番近い駐車場に停めたとしても、徒歩数分かかるということも当たり前です。重い機材をスタッフで手分けして、担ぎ、歩くのです。

そうすると、片道で合計1時間以上かかります。しかも重たい荷物を担ぐという作業付きです。

では、例えば首都圏郊外の取材だと、どうでしょうか。都心を出て、すぐに車は高速に乗ります。1時間半も走れば、取材先に到着です。車を、取材先企業の真正面に停めることができます。真正面に停められるので、荷物を担いで、何分も歩く作業もありません。

そう、都内の企業を取材するのと、所要時間はほとんど変わりません。快適さでいうと、首都圏の企業より上です。しかも日帰りで行けるので、記者はわざわざ上司の出張許可を取る必要もありません。

つまり、首都圏郊外にある企業は、テレビ取材において、都心からの距離を不利な材料として捉える必要はないということです。

この事情が当てはまるのは首都圏郊外だけではありません。実は名古屋近辺の企業も同様です。日帰りで行けますし、新幹線でゆったりしていれば着くので、東京都内を移動するより、実は快適なのです。

有利なのは、移動の快適さや所要時間だけではありません。東京で風景を撮影しても、ただの高層ビルしかありません。ところが、日帰り圏内の企業であれば、近郊に地域性を感じさせる風景があります。テレビ業界で言うところの、「画をつくりやすい」のです。

こうした事情は、実際に自分でニュース番組を制作した経験がないと、全くわかりません。

こうした日帰り圏内の中小企業は、テレビ取材獲得でかなり有利な状況にあるにも関わらず、その好機を活かせていません。ニュース番組制作の、本当の事情が知られていないので、そもそもトライしようとしないのです。

日帰り圏内の中小企業が、テレビ取材を獲得するのに、大いなる追い風が吹いているのです。

日帰り圏内にある中小企業は、ぜひ、この追い風を全身で受け止めてください。

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