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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第39話 中小企業は「つかみ」が命

4月、新年度が始まりました。年度の始まりでもあり、春という季節の始まりでもあります。情報を発信する中小・ベンチャー企業にとっては、SNSであれ、自社サイトであれ、プレスリリースであれ、冒頭に何を書くかという、情報伝達の「始まり」が最重要パートとなります。「始まり」で死命を決すると言っても、過言ではありません。

なぜ「始まり」がそれほどまでに大切なのか。それは残念ながら、中小・ベンチャー企業の情報に、関心を持つ人がかなり少ないからです。冒頭で「つまらない」と思われたら、それで最後。文章や映像の終わりまで我慢して見ようなどという人は、その企業の関係者くらいです。

私、シモヤが中小・ベンチャー企業の情報発信を見ていて常々思うのは、「始め」の作り方にあまりに無頓着だということです。情報の送り手が、暗黙のうちに「読み手は最後までしっかり読んでくれる」という前提で書いているとしか思えないものが、圧倒的多数です。「言いたいことを言いたいように言って、それで終わり」。そんな素人のカラオケのような伝え方なのです。

私、シモヤが製作していたテレビ番組の世界では、冒頭に最も心血を注ぎます。

理由は簡単で、「つまらない」と思われたら、すぐにチャンネルを変えられてしまうからです。ほとんどのテレビ番組の冒頭で、番組の最も面白い部分を、短く、テンポよく並べ、期待感を煽る、3分程度のダイジェストが流れるのは、このためです。製作者は冒頭で関心をつかみ、できるだけ長い時間、視聴者を引っ張ろうとするのです。

「つまらない」と思われたら、すぐに他に移る。この情報の受け手の、いわば「テレビ化」は、この数年で急激に広がり、かつ進んでいます。この理由もシンプルで、身の回りの情報が飛躍的に増えているからです。とても、すべてに目を通していられません。

ビジネス情報を発信しているメディアに限定しても、情報量の拡大は凄まじいものがあります。15年前まではテレビ、全国紙、日経新聞、ダイヤモンドや東洋経済といった経済誌、それに業界紙や専門誌くらいでした。

それが今では、上記に加え、日経電子版などのネット専門記事をどの新聞を発信しています。経済誌もウェブ版を本誌とは別につくっています。業界紙や専門誌も同様です。紙媒体出身ではない、純粋なネット媒体も数多く登場しています。さらに個人でフェイスブックやツイッターで専門的な情報を発信している方も無数に存在しています。

このような情報大爆発の時代に対処すべく、みなさんもフェイスブックやツイッター、ネット記事やメールマガジンなど、どんどん情報を読み飛ばしているはずです。読み飛ばしは、もはや誰にとっても日常なのです。

情報の受け手の関心獲得競争が熾烈さを極めているなか、中小・ベンチャー企業の情報発信に対する姿勢、特に冒頭部分の作り込みに関して、あまりに牧歌的です。

みなさんもぜひ、テレビ番組のように、情報発信の冒頭に工夫を凝らしてください。

 

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