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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第25話 普通の会社のための、採用難からの脱出策

「シモヤさん、本当に人が採れなくて。初任給を上げても、応募すら来ないんですよ」

あるIT開発会社の経営者から、こんな話を伺いました。世界で最も少子化が進む国、日本。加えて、若年層の安全志向は高まるばかり。人気は少しでも大きな、有名企業に集中します。中小企業の求人環境は、厳しさを増す一方です。

中小企業がリクナビ、マイナビなどの求人サイトに出しても、待遇面で比較されて、勝負になりません。特に冒頭の会社のように、圧倒的な売り手市場にあるエンジニア採用であれば、なおさらです。

最近ではwantedlyのような、中小・ベンチャー企業向けの求人サイトも出て来ました。待遇ではなく、その企業に共感を持ってもらって、採用につなげていくという発想のサービスです。

が、実際に見てみればわかりますが、どの企業も同じような「共感」のオンパレード。2万社を超える掲載企業のなかで、印象を残すのはかなり難しい状況です。

IoTのような、尖った事業分野で活動するベンチャーではない、普通の成長志向の中小企業は、一体、どうすればいいのか。

そのための有効な武器が、ストーリー構築です。ストーリーを伝えることで、応募者に擬似入社してもらい、入社意欲を固めてもらうのです。

とはいえ、ストーリーといっても、ただ「ありのまま」を書くだけでは、誰の心も掴むことはできません。「ありのまま」を、うまい文章でまとめれば、人が集まるはずー。現実は、そんな甘いものではありません。

「ありのまま」を上手に語って人が集うなら、私生活では、誰もがモテモテ状態に変身できることになってしまいます。

有効なストーリーを構築する上で大切なのは、軸の設定です。「ありのまま」を書き連ねるのではなく、ストーリーの訴求する軸を意識するのです。そして、すべてがその軸に集約するように設計します。

他者を引きつける軸とは、どういうものなのか。実は、この軸は何種類かに類型化されます。そのなかには、普通の会社でも十分に使えるものがいくつかあるのです。そして、最も適した軸を活用するのです。

家の建築に例えるなら、軸は大黒柱です。大黒柱なき家は、形を維持することはできません。極めて重要な要素です。

柱がしっかりと建てられれば、あとは内装、外装と進めることができます。これはストーリーでいうと、読み手がワクワクするような演出法や言葉選びになります。

言葉選びは瑣末なようでいて、細心の注意を払うべきものです。最近週刊誌やワイドショーで取り沙汰されることの多い「不倫」。「不倫」と言うと、罪深いもののように聞こえます。ですが、「浮気」というと、軽いものに聞こえます。どちらも、やっていることは大して変わらないのに、です。

80年代の大ヒット曲「三年目の浮気」の歌詞の世界は「三年目の不倫」というタイトルになってしまったら、成立しないのです。

ぜひ、訴求軸のあるストーリーを構築し、優秀な人材を引きつけて、採用してください。その採用が、自社の成長に繋がる道となります。

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