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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第18話 総選挙の情報戦に学ぶ、設計図の重要性

短い間ながら政治記者をしていた、私、シモヤ。ということで、今週も政治家の情報戦から学ぶべき、情報発信の成功要因をお伝えしていきます。

華々しく登場した、小池東京都知事率いる希望の党。しかし、支持率はかなり低迷しているようです。投票前1週間での共同通信、読売新聞、朝日新聞、日経新聞の世論調査のいずれでも、民進党時代と大差ない議席数に収まると出ています。

「所詮、マスコミの世論調査。本当に当てになるのか」という見方もあると思います。が、昨今の世論調査はかなりよく作られており、大幅に外すことはまずありません。

都議選での歴史的圧勝からわずか3ヶ月。なぜ、ここまで失速したのでしょうか。いろんな分析ができます。が、情報発信という私の専門性から見た場合、明確に言える敗因があります。それは、一貫したストーリーを形成できていないということです。

小池都知事は「しがらみのない政治」というスローガンを打ち出しました。が、そのスローガンと小池都知事自身の振る舞いや民進党からの移籍組、新たな立候補者の行動に一貫性がありません。そもそも都知事選や都議選のときの訴求内容との一貫性も疑わしいほどになっています。

すべての要素が点として存在しており、線として繋がる、ストーリーになっていないのです。推測ですが、アピール上手と言われる小池都知事ですが、ストーリー構築を全く意識してなかったのでしょう。

小池都知事も、私の古巣、テレビ東京でキャスターをしていました。が、ニュースキャスターという仕事の性質を考えたとき、今回の小池都知事の失敗原因を、想起することができます。

多くのニュースキャスターは、自分で番組構成を企画するわけではありません。求められるのは、構成力ではなく、瞬発力です。私たち番組の製作者が作ったVTRを見て、スタジオでどのようなキレのあるコメントを口にするか。まさに反射神経と言えるものです。まさにその瞬間のコメントという、いわば「点」での動きなのです。

都知事選や都議選では幸運にも、ライバルの失策が重なったことで、「点」の動きが自ずとつながり、「線」となりました。が、今回の失敗を見るに、幸運は永遠に続くわけではないということです。

効果的な情報発信を継続的に行っていくには、自身の行動、言葉、さらには属する組織の振る舞いなど、一貫したストーリーの精緻な設計図が必要なのです。

あなたは「点」ではなく、一貫した「線」として情報発信していますか?

 

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