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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第3話 小池都知事圧勝が示した、イメージ構築の重要性

「シモヤさん、今回の都議選をどう見ましたか?」

小池都知事圧勝の報を受け、早速、経営者の方から水を向けられました。ブランド構築という意味で、今回の都議選は大変興味深いものでした。

都議選はひとつの選挙区から、複数の都議会議員が選出される、中選挙区制です。国政選挙と同様の小選挙区制だったとしたら、都民ファーストの議席数は、さらに拡大していたことになります。近年の政治状況では稀に見る、圧倒的な勝利だったといえます。

では、小池都知事の勝因は何だったのでしょうか。「イメージ戦略の巧みさ」と言えば、それまでになってしまいます。もう少し深く、考えてみます。

過去、「イメージ選挙」で圧勝した例としては、小泉総理時代の「郵政解散」、あるいは橋下徹氏率いる「大阪維新の会」の登場時があります。これらの戦いでは小泉総理は郵政民営化を、橋下徹氏は大阪都構想を掲げ、反対する勢力との敵対関係を構築し、メディアの関心を一点に引きつける手法でした。

ところが、今回の小池都知事は特に争点を示したわけではありません。豊洲市場への移転も結論を選挙前に示したことで、都議選の争点としませんでした。他に何か、都政の課題を掲げ、争点化したわけでもありません。

自民党など既存勢力は「何か、胡散臭い」。一方、都民ファーストは「清新で、何か変えてくれそう」。この相反するイメージを繰り返し、繰り返し、小池都知事サイドは塗り続けたと言えます。都議会自民党幹部が握手を拒んだとき、都知事の給与カット、豊洲移転の経過を審議する委員会。すべて、ひとつのイメージを繰り返し塗るための手段だったといえます。

この繰り返しイメージを植え付ける手法は、実は大文豪・ドストエフスキーも多用した、ストーリー構築のテクニックです。

小池都知事の都知事選での公約、そして今回の公約をよく吟味して、都民ファーストに投票したという有権者は決して多くないはずです。

公約は、企業に例えるなら、自社製品といえます。ほとんどの経営者の方々は「いかに自社の製品やサービスの質を高めるか」に、日々、注力されています。ですが、小池都知事の圧勝は、改めて、消費者にどう見えているかに、細心の注意を払う必要があるということを、私たちに示したのだと思います。

あなたの会社は製品の質だけではなく、それと同等か、それ以上に「どう見られているか」に注力していますか?

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