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今週の専門コラム 「最強の武器はストーリー」 第72話 中小・ベンチャー企業が、”自社の魅力”を伝えるための手段とは

今ではどの会社も自社サイトを持っているのが、当たり前となりました。なかには、ウェブ製作会社に高額の製作料を支払い、大企業並みに「かっこいい」サイトも珍しくなくなりました。

とはいえ、私は中小・ベンチャー企業のサイトを見るたびに、私は「もったいないな」と、思ってしまいます。

もったいない理由が最もわかりやすく現れるのは、「社長メッセージ」や「社長の挨拶」と銘打った、社長の言葉が掲載されているページです。

覗いてみると、大抵、どの中小・ベンチャー企業も同じようなことが書いてあります。「社会に貢献する企業づくり」、「地域とともに」などです。最近では流行に乗って、「SDGsの理念に則って」なども目につくようになりました。

これらはいずれも、耳障りの良い言葉です。ですが、どこかで聞いたことがある言葉ですし、何の印象にも残りません。あまりに抽象的すぎるからです。そして、実態はさておき、誰にでも言える言葉です。「誰にでも言える言葉」は、「誰の印象にも残らない言葉」です。

サイトの見た目をいくら立派にしても、これではサイトを見た、メディア関係者はもちろんこと、就職や転職を考えている若者や、従業員も動かすことはできません。

では、中小・ベンチャー企業が自社サイトなどを通して、”伝えるべき魅力”とは何でしょうか。

わたしはテレビ東京在職中、「WBS」などの番組で多くの中小・ベンチャー企業を取材し、伝えてきました。その経験から言えるのは、中小・ベンチャー企業の魅力とは、”経営者の魅力”そのものだということです。もっと突き詰めていうと、それは”経営者の想い”とも言えます。

では、”経営者の想い”を伝えるのに、最適な媒体とは何でしょうか。それは、まさしく動画です。「このビジネスに私は人生を賭けています」。活字にするとありふれた、誰にでも言えそうな言葉です。

ですが、この言葉を映像で、経営者本人が、感情のこもった表情で訴えたら、どうでしょうか。活字とは比較にならないほど、力強いものとなるはずです。大企業の2年で交代するような社長が語る言葉とは、重みや力強さが全く異なります。

テレビの製作者が中小・ベンチャー企業の経営者をインタビューするとき。何か経営「情報」を語ってもらおうとは思っていません。いかに「感情のこもった言葉」をカメラの前で引き出すか。そのことを中心に、考えています。

「感情のこもった言葉」こそが、多くの視聴者の心を揺さぶるからです。新聞の中小企業に関する記事よりも、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」などの番組のほうが多くの人々の感情を動かす理由のひとつは、まさに動画の力、なのです(もうひとつの力は、ストーリーの力です)。

携帯では、5Gが広がりつつあります。若い世代の人気ナンバーワンの職業は、「ユーチューバー」です。情報伝達の手段として動画が主流となりつつある今。中小・ベンチャー企業の魅力を伝えやすい環境が今まさに、確実に整ってきているのです。

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